第8章 絶対帝王・洛山
「で。
美琴は、赤司様とどういう関係なの?
赤司様のことを知ってるって訳でもないし、でも赤司様のことを“赤司さん”って呼ぶし。」
「うぇ?!あ…あの……お、おこがましいんだけど……。…婚約者です。」
「婚約者?!」
優希が驚いて、大きな声を出した。
私は、優希の口を手で塞いで、シーっと唇に指をたてる。
「候補!候補なの!!決まりってわけじゃなくて……。
…私がドイツから洛山へ転校してきたのも、赤司さんの婚約者の候補として、相性とかみる意味の来日なの。」
優希の口から手を離して、座席に座り直した。
「赤司様の婚約者か…。なんかすごい子と友達になったんだな、私。」
優希は、私を見てほっと息を吐いて、力なく笑った。
「…私と友達になるの、嫌になっちゃった?」
心配になって、そっと優希をみると、優希は笑って首を横に振った。
「まさか。
美琴は、可愛いだけじゃないんだなって、思っただけ。
まぁ、マネージャーの仕事は、すぐに覚えちゃうし、人の何倍も一度にこなしちゃうし、普通じゃないとは思ってたけど。」
そういって、優希はバスの窓に頬杖をして、私を見る。
「そんなことないよ。
みんなの迷惑にならないようにって、いつもいっぱいいっぱい。」
私は首をすくめて、苦笑する。
「美琴はもっと自信をもっていいよ。
みんな、美琴のこと認めてるから。」
優希はそう言った後、あくびをした。
「学校着くまで、少し寝るね。おやすみ、美琴。」
「おやすみ、優希。」
優希が目を閉じ、私は、優希からもらった嬉しい言葉に、胸が一杯になっていた。