• テキストサイズ

~スミレ色の婚約者~【黒子のバスケ☆赤司】

第1章 ドイツから来た婚約者


【美琴】



自分の肩をトントンと優しく叩かれているのを感じる。でも、目が開かない。


「ママ…眠い……寝かせて……。」


そう呟いて身体の力を抜くと、頭の上から優しい声がする。


「寝かせてやりたいが、ここで寝ると風邪を引くよ。」


母だと思っていたのに、その声は明らかに低い男性の声。


「…ぇ……え……?」


嫌な予感にゆっくり眼を開けると、目の前に彼の赤い瞳があった。


「わっ!あ、私っ!」

ビックリして慌てて距離をとろうとした。
『顔が…あつい………。』


顔から火が出る程恥ずかしい…。


「やはり疲れていたんだね。」


彼は私に怒ることも気分を害した様子もなく、驚いている私を見て笑った。


「今日は部屋でゆっくり休むといい。」


彼がそういうと同時に、タイミング良く車のドアを運転手さんが開けてくれた。


「あの、すみませんでした。…じゃあ……あ、あれ?眼鏡…?」


視界が心なしかボヤけていて、戸惑うと


「これかな?」


彼ら私に眼鏡を渡してくれた。


「眼鏡を掛けたままだと、寝ずらそうだったからね。おやすみ。」

「…おやすみなさい。赤司さん。」


優しい笑顔の彼に、私はおやすみの言葉をいうことで精一杯だった。



/ 164ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp