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~スミレ色の婚約者~【黒子のバスケ☆赤司】

第1章 ドイツから来た婚約者


【征十郎】



空港から走ること約二時間。
洛山高校女子寮に到着した。

俺の肩に頭を乗せて寝ている彼女を、そろそろ起こさないといけない。
運転手は様子を伺うように、振り返り俺を見るので、苦笑した。


『もう少し、このままでもいいがな…』


そう思いながらも、彼女の肩をそっと叩くが、


「ママ、眠い……寝かせて……。」


そう呟いて彼女はまた眠ろうと俺に身体を預けてきた。そんな彼女の仕草にまた笑ってしまう。


「寝かせてあげたいが、ここで寝ると風邪をひいてしまうよ。」

「…ぇ…?……え……?」


彼女は寝とぼけた眼で俺をみると、顔を赤くして動揺している。


「わ?!私っ?!」


あわあわと慌てふためいて、コミカルな動きの彼女に、やはり笑ってしまう。


「やはり疲れていたんだね。今日はゆっくり休むといい。」


そういうと運転手が車のドアを開ける。


「あの、すみませんでした。…じゃあ……あ、あれ?眼鏡……?」


きょとんと動きが止まり俺を見た彼女に、トクンッとまた小さな鼓動が脈打つ。
菫色の大きい瞳が俺を映す。


『これは、面白いな…』

「これかな?」


俺は、彼女から外していた眼鏡を返した。


『…もう少し彼女と話してみたいが、仕方ない…』


今のこの時間を惜しむが、諦めた。


「眼鏡を掛けたままだと、寝ずらそうだったからね。おやすみ。」

「…おやすみなさい。赤司さん。」


そして彼女は女子寮へ入っていった。

彼女を車中から見送っていると、運転手が運転席に戻った。


「…回り道をした方が良かったですか?」

「黙れ。出してくれ。」


車は滑るように発進した。

先ほどまでいた彼女側の席を見て、彼女の表情、仕草、声を思い出す。
来週からの学校生活を楽しみを感じるのだった。


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