第7章 女子部のマネージャー
[美琴]
私は、各選手の練習状況を、選手ノートに書きながら、今行われているミニゲームの、タイム係をしていた。
でも、頭の中では、備品の在庫なんかを考えていると、優希が監督と体育館に帰ってきた。
「美琴、今週の土曜日、練習試合組んだから、用意をお願いね。」
「はい。来週ですね。」
私は、書いていた選手ノートをステージの上に置いて、部誌を手に取る。
そして、練習試合と書き込んだ。
「美琴にとって、はじめての試合参加だよね。」
「はい。なんか、部員になったんだなって思います。」
そういって、眼鏡を指で押すと、優希は笑って、頭をポンポンしてくれた。
「もう立派に部員でしょ。頼りにしてます、美琴マネージャー。」
「ふふ、頑張ります。」
誉められたことが嬉しくて、微笑むと、優希も笑ってよしよしと頭を優しく撫でてくれた。
「先輩、いいんだ!キャプテン!私も、なでなでしてくださいよぉ~」
それを見ていた1年生マネージャーが、私たちに近づいて、話しに加わった。
「ったく、よしよし。頼りにしてるよ、マネージャー。」
そういって、1年生マネージャーにも頭を撫でてあげていた。
洛山高校、女子バスケット部。
優希部長が率いる、関西ではかなりの強豪と言われている。
そして、部長の優希は、1年のときからエースで、スター選手らしい。
練習の時見せてもらった彼女のプレー。
彼女の3Pシュートは、流れるように美しく、早い。
シュートフォームに入ったら最後、次の瞬間にはゴールネットが揺れている。
男子部の実渕・女子部の優希、洛山のシューティングガードの知名度は、全国でも高いと聞く。
それに
「もーー、先輩が男子だったら、絶対彼女になりたいのにな。」
頭を撫でて貰った1年マネージャーが残念そうに苦笑してる。
そう
同姓からの人気が高い。
彼女のさばさばした性格と、女性らしい細やかな気配りは、異性だけじゃなく同姓も虜にしてしまっているのだ。
「ふふ、優希はかっこいいもんね。」
「はいっ!イケジョです。」
1年マネージャーは私に笑い掛けながら、優希にメロメロしていた。
※イケジョ…イケメンの類義語。女性なのに、カッコイイ人をいう。