第7章 女子部のマネージャー
[美琴]
洗濯カゴを持って、女子部の体育館へ戻ろうと視線を上げると、丁度、男子部が外周から帰ってきた。
赤司さんが部員達を率いて、体育館へ戻ってくる。
私は、赤司さんたちを見つめていると、赤司さんが私に気がついた。
赤司さんは他の部員の人たちに何か話した後、私のところへやってきた。
「マネージャーの仕事は順調かい?」
「あ、はい。まだ仕事を覚えている最中ですけど。」
洗濯カゴを抱えて俯くと、赤司さんの笑う息づかいが聞こえた。
「男子部も女子部も、選手達がプレーに打ち込めるのは、マネージャーが日々、支えてくれてるからだと思ってるよ。
君が頑張ってる姿は、こっちも励みになる。」
「あ、ありがとうございます。
その言葉こそ、私の励みになります。」
赤司さんの気遣いに笑うと、赤司さんも笑った。
二人で笑っていると、
「ハッハッ……あー疲れたっ!…って、あーーーー!!!
人に20周追加で走らせといて、なんで赤司だけいい思いしてんだよぉーー!」
確かレギュラーの葉山さんが、私たちを見て、大きな声を上げた。
赤司さんは葉山さんを振り返った。
「…葉山、早く戻れ。俺もすぐに行く。」
「ヒッ!…わ、分かったって…」
赤司さんの顔は見えないけど、葉山さんの顔色は明らかに悪くなって、走って体育館の中に入っていった。
「引き留めてしまって、ごめんなさい。赤司さんも戻ってください。」
「あぁ、じゃあ。」
赤司さんは私の肩をポンっと触れて、男子部の体育館へ戻っていった。
私は、赤司さんに触れられた肩に、そっと手をおいて、頬を赤くするのだった。