第6章 新学期の出会い
[美琴]
優希と一緒に体育館へ向かうと、朝礼で集まった体育館ではない建物へ来た。
「うちの学校は、男子部が強くてね。全国で何度も優勝してるの。
で、強い部には、それなりの設備が用意されてさ、男子部専用の体育館があるのよ。」
優希に案内されて、少しだけ、男子部の体育館へお邪魔することにした。
入り口を開いて、優希の後ろから中を覗く。
「うわー、すごい。こんなに沢山の選手がいるんですね。」
私は、体育館で何グループにも別れて練習をしている、男子部員たちを眺めていた。
すると、
「うっすーーーーっ!!!」
見上げるほど大きい男子が、大迫力で、目の前のゴールへダンクシュートをした。
「きゃっ!!」
あまりにも大迫力で、私は思わず声をあげて、優希の後ろへ隠れてしまった。
すると
「美琴?」
優しく、よく通る声がする。
この声。
「あ、赤司さん!」
私は驚いて、優希の後ろから顔を出す。
すると、赤司さんも驚いた顔をして、こっちを見ている。
『今、美琴って呼んで?』
赤司さんの後ろでは、他の部員の方達がなにやら話をしていし、明らかに注目を浴びている。
「どうしてここに?」
赤司さんは困ったような顔をして、お邪魔してしまったと、申し訳ない気持ちになりながら、呟いた。
「あの、女子バスケット部の見学にきたんです。」
「え?」
私の説明では伝わらなかったのか、優希が説明してくれた。
「赤司様、知り合いなの?
この子、今日からうちのクラスに入った転校生よ。
友達になったから、私の部活紹介したくて連れてきたんだけど。」
これ以上、赤司さんを困らせたくも、注目を浴びたくもなくて、優希の後ろに隠れて、様子を伺うと、
「美琴、遅くならないように帰るんだよ。」
そう言って、赤司さんは練習へ戻ってしまった。
「私たちも行こうか。」
後ろにいた私を見て、優希は笑いながら、女子部の体育館へ移動することにした。