第6章 新学期の出会い
[征十郎]
新学期は何かと用事が多く、今日は彼女のもとへ行けなかった。
でも
今朝、朝礼で壇上に上がって顔をあげた瞬間、彼女を見つけた。
相変わらずの、優しい色合いの瞳の色、雰囲気を感じて、俺は顔の筋肉が、緩んだのを感じていた。
『明日には会いにいこう。』
バッシュの紐をぎゅっと結び、モップ掛けされた、バスケ部専用体育館に入る。
部員が、俺を待って整列している。
「さぁ、はじめよう。」
俺の号令で、部活が始まる。
バッシュのスキール音。
ボールの音。
ゴールネットを揺らす音。
部員の声だしが体育館を埋める。
いつもの風景を、監督しながら、メニューをこなす。
すると、
「ねぇ、征ちゃん。今朝のあの微笑みは、なんなの?」
実渕がシュートを決めた後、俺を見た。
顔がにやけているように感じる。
すると、葉山もニタニタしながら、近づく。
「俺なんて、クラスの女子にめっちゃ聞かれたしっ。」
根武谷は、俺たちの会話を分散させるように、乱暴にマッスルダンクをかます。
「うっすーーーっ!!!」