第30章 夏合宿 ⑤君の能力
「美琴。ちょっといい?」
「征十郎さん。」
呼び止められ振り返ると、征十郎さんが私の部活ノートを持って立っていた。
「それ、私の…。」
「これについて、二三聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「?あの…はい。」
私の部活ノートがどうして征十郎さんに渡っているのか、不思議に思いながら、首を傾げる。
「美琴、私先部屋戻ってるよ~。赤司様、今合宿中ですからね。清く健全な形でお願いします。では。」
優希が、私たちをニヤニヤした目で見ながら去っていった。
「…えっと…。」
「2人になれるところに行こうか。」
「あの…はい。」
集められた部員達が各々解散していく中、私は、征十郎さんに手を引かれその場を後にした。