第29章 夏合宿 ④海と水着と
海や浜辺を一段高い場所から見下ろし、各チームのトレーニングを見る。
男子部は、浜辺ランニングと、浜辺ダッシュ中のようだ。
女子部はというと、水中スクワット中で、コーチの笛に合わせてトレーニングしている。
…美琴は…?
俺は、浜辺にいるであろう美琴を探す。
すると、浜辺に座る1人の後ろ姿が見えた。
水色の短いスカートの上に、部のパーカーを着ている。
あの後ろ姿は…
「あっ!美琴ちゃんじゃんっ!」
葉山の嬉しそうな声に、ピクッと反応すると、根武谷が葉山の首に太い腕を巻き付け、
「葉山ぁ!ほれっ!午後のトレーニング始まる前に、海の家でメシ食うぞっ!!」
「グエっ?!お、おいっ!俺、美琴ちゃんとこ行こうとっ!!」
ガハハと豪快に笑う根武谷に、引きずられるように葉山は海の家にいってしまった。
「…あたしも、お昼食べてくるわね。征ちゃんも、お昼、ちゃんと食べる時間とってね。じゃ。」
そう言って、葉山と根武谷の後を、軽い足取りで追っていった。
俺は、潮風に吹かれた髪を感じて、目を細め、美琴のもとへ足を進めた。