第28章 夏合宿 ③海と山でトレーニング
ボーーーっとしていると、ランニングから、バスケ部のメンバーが帰ってきた。
「ただいま、美琴!」
優希達が、私に向かって駆け寄ってきた。
私は、慌てて用意していたタオルをみんなに手渡し、個々に休みをとる、みんなへ視線を向ける。
みんなの身体を丹念に見つめて、ボディーチェックをし始めた。
最近、私の特技になりつつあること。
それは、みんなの練習を見たりマッサージをすると、なんとなく、その人の癖や、筋肉の疲労度、故障箇所の具合が分かる……気がする……。
「…優希、右膝大丈夫?この後、砂浜ダッシュがあるけど、その足耐えられるかな…。」
そういうと、優希は不思議そうな顔をして、私を振り返った。
「ん?右膝?…特に違和感ないけど…。じゃ、美琴、ちょっと見てくれる?」
「うん。タオル敷くから、うつ伏せに寝転んで?」
「はーーい。」
そして、バスタオルを砂浜に敷き、優希を寝かせ、右膝を確認する。
筋肉・筋・骨…両指先で軽く押しながら、手を滑らせる。
すると、優希が気持ち良さそうに、声を上げた。
「あぁー……美琴の手、ふにふにで、きもちぃ……。」
「ふふふ、気持ちよくて良かった。」
そんな優希に、私は苦笑して、他の部分も確認していく。
そして、最後に優希の全身にアイシングのスプレーを振った。
「優希、今日はテーピングで大丈夫だと思うの。
でも、筋肉に乳酸がいつもより溜まってる気がするから、無理しないようにね。」
「はいよ、美琴マネージャー。」
そして、右膝のテーピングをしてから、おしまいっと優希の肩をポンッと叩いた。