第24章 勝負してください。
「征十郎様。私、貴方が好きでした。
でも、もうこの気持ちがうずくことはないと思いますわ。
何故なら、私は、美琴と友達になったの。」
「友達?」
「えぇ。
私は彼女のように、素直でもなければ、優しくもなかった。
…でも、だから美琴と友達になりたいと思ったの。
…きっと、友達になっても美琴のような人には、なれないかもしれないけど。
それでも、もし少しでも美琴のようになれたら……私は私を好きになれると思います。
だから……だから、美琴の友達として、この洛山高校にいさせて欲しいんです。」
「…………。」
優雅に、僕へ頭を下げる香澄に驚きを覚えた。
あの高飛車で、プライドだけが高い女子だったのに…。
少しでも美琴と話をしただけで、こうも変わってしまうのか…。
僕は、香澄を見つめ腕を組む。
すると、その言葉を聞いてか、美琴も僕たちの話に加わった。
「私からもお願いします。
どうか、このまま洛山高校で過ごせるように、口添えしていただけませんか?」
その言葉に、やはり僕の中の俺が騒ぐ。
…何故騒ぐのか…
それは、美琴の大事に思う人間が、これ以上増えることを警戒しているからだ。
だから、僕は俺の気持ちを優先させる。
「…以前、俺はこう言った。《これ以上、美琴を愚弄したら、殺す》と…。
今日、美琴を愚弄した貴女を、“俺”が許せない。」
「私のことはもういいんです!お願いです、征十郎さん。」
「これは僕の問題だ。美琴は、逆らうな。」