第23章 似た者同士
「香澄さん。」
踞る影がビクッと動き、ゆっくり顔をあげてくれた。
やっぱり、香澄さんだった。
「良かった。ここに居たんですね。探しました。」
私が彼女に近づくと、香澄が威嚇するように、私を睨んで立ち上がった。
その顔は、涙に濡れグシャグシャで。
「…何が良かったの?
貴女、こんな私を笑いにきたんでしょ?
……あなたこそ、良かったわね。征十郎様に気に入られて。
これで、婚約者として認められる。
……邪魔な私は、実家に戻って、適当な相手とお見合いさせられて、結婚するのよ。」
私は、振り乱した香澄さんを見つめた。
溢れる涙を、ゴシゴシと力一杯拭っている香澄さんに、胸が苦しくなる。
「…香澄さんは、本当に赤司さんが好きなんですね。」
香澄さんは、ハッとして私を見つめ、私は更に、言葉を続けた。
「でも……私も、赤司さん…征十郎さんのことが、大好きです。だから、貴女に負けません。」
すると、私を睨んで、叫ぶように香澄さんが激怒した。
「何言ってるのよ!もう勝負はついているでしょ?!
私は、征十郎様に見限られていて、本家からも、帰るよう言われている!!」
凄い剣幕なのに、その声は震えていて、気がついたら、香澄さんに抱きついていた。