第22章 アナタハダレ?
「…香澄の件かな?」
「はい。教えてください。
何故、香澄さんが洛山高校を、辞めなくてはいけないんですか?
…征十郎さんが指示したというのは…
…本当なんですか?」
体育館の物干場。
空が紫色に染まっている。
もうすぐ夜が来る。
征十郎さんを見ると、彼は私を振り返り、その目が、怪しく光っている。
…背筋が、ゾクッとした。
「……“僕”の大事な人を愚弄した。
それは、僕自身を愚弄したも同じだ。」
足が震える。
「………征十郎さん………?」
私を見る征十郎さんの目が、夕日の残り日に照らせれて、
片方の目が金色に見える。
「だから、彼女は要らない。僕には、君さえいればいい。」
私に微笑む、征十郎さんがいる。
でも…
「貴方は…ダレ?」
頭で考える前に、出た言葉。
自分自身に驚いて、手で口を覆い、後ずさる。
「ぁの………私、香澄さんを探しにいきます。」
踵を返し、私はその場を後にした。