第21章 それぞれの想い
「っおっしゃーーーーー!!!」
根武谷センパイの雄叫びが響く体育館。
2軍・3軍の体育館を回り終え、私たちは1軍の体育館へタオルを渡しに行った。
「もー!相変わらず、根武谷センパイうるさい!!」
水樹ちゃんは、暑苦しーっと呆れた顔をしながら、体育館へ入っていく。
私は、その後を追って、着いていった。
『…なんでそんな風に、根武谷センパイの大きな声に、平気で居られるんだろう…』
居心地が悪くて、早く1軍マネージャーさんにタオルを渡して帰ろうとすると、香澄さんが、こっちに来てくれた。
「ご苦労様でした。タオル、もらいます。」
「あ、はい。お願いします。」
私はタオルを香澄さんに渡す。すると、タオルのタワーが崩れて、床に散らばってしまう。
「あっ!ごめんなさい…。」
私は散らばったタオルを拾おうと、しゃがむ。
「西園寺さん。しっかりしてください。せっかく畳んで持ってきてくださったのに。」
「ごめんなさい。そうですよね。」
「もう一回、洗濯した方がよろしいんじゃなくて?
あ、でもこの練習終わるまでに乾かないですよね。」
「……ごめんなさい。」
香澄さんの言ってることはもっともで、私は、とにかく散らばったタオルを拾い集めた。
「美琴センパイっ!大丈夫ですか?」
「水樹ちゃん……。」
床に散らばったタオルを拾っていると、水樹ちゃんが拾うのを手伝ってくれた。
2人で落ちてしまったタオルを抱えると、水樹ちゃんが香澄さんに詰め寄ってしまった。
「……無茶苦茶言わないでください、香澄センパイ。
私たち、女子部のマネージャーです。
そんなこと言うなら、自分達でタオルぐらい畳んでください。
私たちだって同じ、IH予選控えてるんですから。」
「何言ってるの?女子部と男子部、どちらが学校から期待されていると思ってるのよ。弱い女子部は黙って、男子部の手伝いでもしてればいいのよ。」
「なっ!?」
パンっ
水樹ちゃんが、怒って掴み掛かる前に、葉山さんが香澄さんの頬を叩いていた。