第19章 みんなでイジメ?!
~合宿終了日・美空っち甲子園へ移動日~
俺は、美空っちを東京駅で送りがてら連絡先を交換した。
『いってきます。涼太。』
『うっス。気を付けて。』
『IH、無理しないでね。』
そういって、笑う笑顔に寂しさが込み上げる。
俺は、美空っちの携帯を持つ手首を掴み引き寄せた。
『っ!りょ、涼太っ!!人前!それに…2週間後に、一回帰ってくるよ?』
顔を赤くして、俺の胸の中で抗議する美空っちの頭に、顔を埋めて、美空っちの匂いを刻み込むように吸う。
『うん、分かってるっスよ。……美空っち、早く、帰ってきて。』
自分にしては珍しい弱い声に、美空っちは俺を見上げて、目を見開いた。
そして、両手を俺の頬に添えた。
『涼太、お互いに頑張ろう。じゃあ、2週間後。』
そう言って、俺からするりと抜け出して、新幹線の改札を抜けた。
美空っちは、一度振り替えって、俺を見て小さく手を振り、新幹線ホームに続くエスカレーターへ消えていった。