第19章 みんなでイジメ?!
俺は右足首をテーピングして、ドリンクを飲む。
「バスケ部も頑張ってね。野球部は、好調らしいから。」
広瀬センパイは、なにかメモを取りながら、話をしてきた。
「好調っスか?」
俺は、眉をあげて、広瀬センパイをみた。
「そっ。……卯月がいるとなぁー…勝率いいんだよ。特に男子部がな。」
「それって…………」
シャッターを切りながら、胡桃サンも話に入ってきた。
「男女混合モテ率で言えば、黄瀬くんはダントツですけど、男子にモテる女子で言えば、美空センパイは、わが校の上位です。」
広瀬センパイと胡桃サンの情報に、さーーーっと血の気が引く。
「…………」
「今までは、俺を彼氏って周りが誤解して、誰も近寄らなかったけど、今回、俺、同行してねぇーしな。
3年だろ?…最期の思い出作りって、変な気起こしたバカが、いなきゃいいんだけど。」
広瀬センパイは、ペンのお尻でこめかみを押しながら、苦笑している。
「美空センパイ、スタイルいいし、性格は真面目で天然。あれは、同姓からみてもモテるって分かります。ホント、素敵っ!!」
よほど美空っちが好きなのか、胡桃サンのテンションが著しく上昇した。
そして、俺のテンションは著しく低下した。
俺は、急いで自分の携帯を取り、美空っちの番号へSNSを送信する。
涼太《美空っち、無事っ?!今すぐ声聞きたいっス!!》
しかし、美空っちからの返信は全くこない。
「……今、野球部試合中だろ。アイツ、撮影中は電話以外取らないよ?」
そう言った後、広瀬センパイは、体育館に響くほど爆笑し始めた。
「っ!なんでみんなして、俺をイジメるんスかぁー?!
美空っち!!早く帰ってきてぇーーー!!!」
俺は半泣きで、絶叫するのだった。