第15章 オイシイ☆シチュエーション
「お、試合もそろそろ終わりだな。卯月、どんな感じ?」
「うん、大分いいのが撮れたと思う。はい、胡桃ちゃん、データ読み込んで。」
私は、今まで撮っていた写真が入ったメモリーを胡桃ちゃんへ渡す。
「はいっ!」
胡桃ちゃんは、メモリーをパソコンに読み込ませ、私は新しいメモリーをカメラの中に入れる。
「……うわぁ……すごい…」
写真チェックをしている胡桃ちゃんから、感動の声が漏れる。
すると、広瀬が余計なことをいう。
「大好きな彼氏だもんな。そりゃ、すげーいい写真が撮れて当然。」
「え!?センパイ、彼氏いるんですか?!」
胡桃ちゃんは、赤い顔をして、力一杯迫ってきた。
「えっ!!あのっ…あー…広瀬っ!!!」
私は、困ったあげくに、広瀬を怒鳴って、ぐーで肩口を叩く。
「誰なんですか?!教えてくださいっ!!」
胡桃ちゃん、いつも弱々しいのに、今、力チョー強い…。
私は、あっという間に壁際に追い詰められ、胡桃ちゃんに壁ドンされて、あうあうしてしまった。
すると、
「……ある意味、オイシイシチュエーションで、男子バリバリ食いついてるんだけど…。」
私たちは、はっとして、体育館の下を見ると、うちのバスケ部だけじゃなく相手のチームまでこっちをみて、顔を赤くしている。
「男心、ハァハァさせんな。」
広瀬は、私たちを見て、肩を震わせて笑っている。
私は、胡桃ちゃんから抜け出し、カメラを持って、ゴホンっと咳払いを一つし。
「…続けてください。」
というので、精一杯だった。