第11章 夏だ!合宿っ!!
[美空]
「いくぞーーーー!!」
「「「おーーーーーー!!!」」」
蝉が喧しく鳴く、海常高校グランド。
今日は、野球部甲子園前の紅白試合。
私は、望遠レンズを装着させたカメラで、野球部を撮っていた。
今年の野球部は、甲子園行きを決め、ノリにノッている。
私は、自分のポニーテールの髪が風に揺れるのを感じて、一回ファインダーから、顔を外す。
見上げると、広い空に入道雲がたっている。
『黄瀬くん逹、頑張ってるかな…。』
私は、ふと黄瀬くんを思いだし、微笑む。
きっと、胡桃ちゃんが一生懸命バスケ部を撮っている。
3泊4日で軽井沢へ合宿に発った、バスケ部。
3日目に、練習試合があるって予定表に書いてあった。
今日は2日目。
きっと、練習を頑張っているだろう。
「センパイ、水分補給してください。」
「あ、うん。ありがとう。」
バスケ部についていく胡桃ちゃんは、新人なので、広瀬が着いて行った。
そして、私とペアなのは、次期部長候補の、2年生。
2人で、グランドの端に座り、試合を観戦する。
「…なんか、日光に当たってると、眠くなってきますね。」
「こらこら、試合ちゃんとみてよ。記事書くんでしょ?」
私は、2年くんの頭をポンポンと叩き、カメラを構え直した。
5回裏、赤有利で運ぶ試合。
もう少しで、ゲーム終了。
私は、ピッチャーにピントを合わせ、シャッターを切ろうとした瞬間に、ポケットに入れていた携帯がブルッときた。
「っ?!ナニっ!!」
「な、なんですか?!」
急に変な声を出した私に、2年生まで驚いて、2人で顔を見合わせてしまう。