第11章 夏だ!合宿っ!!
「え?電話???」
私は、まだブルッている携帯をポケットから出し、着信相手にキレる。
「広瀬ーーーー!!」
鬼の形相で、通話ボタンを押した。
「ナニよっ!!今、撮る瞬間だったのよ?!」
《わりー、卯月。ちょっと、こっちでトラブった。》
「え?!どうしたの?」
《えーっと、胡桃ちゃんが、熱中症で倒れた。》
「な、なにーー!!??で、胡桃ちゃんは?
ちゃんと休ませてる?病院は??」
《あーー…うん。今、宿に運んで、寝かせてる。処置は、ちゃんとしたよ。》
「そう…。ちょっと安心した。」
《気を付けては、いたんだけどな…。部長失格だわ。》
「…まぁ、部長も万能じゃないからね…。」
《で、困ったことになった。明日の練習試合どうしよう。俺、撮影センス皆無だし。》
「あー……今までの写真でどうにか出来ないの?」
《うーーーん…それでもいいかとも思ったんだけど……。
バスケ部IHへの道って、特集組む予定でさ、練習風景だけってのも…。》
「……私に、軽井沢まで来いって?」
《……そう。大丈夫、顧問もOKって言ってる。グッ!》
「ナニが、大丈夫だ。こっちの撮影はどうすんのよ。」
《何言ってんだよ。明日、お前オフだべ?》
「ばかっ!明後日、甲子園に行くんでしょ!!」
《だ、だから……今日中にこっちに来て、明日はバスケ部撮って、その足で、次の日、甲子園へ行けば…………ね?》
「 ねっ! じゃないっ!!!」
私が大声を出した瞬間。
カッキーーーーン
野球部の試合が終わった。
「………………分かった。行くわよ。」
そう言って、電話を切った。