第11章 夏だ!合宿っ!!
「そーっスね。まぁ、ボチボチっス。」
「……卯月がいなくて、残念?」
俺は、目を見開き広瀬センパイを見上げる。
そして、見下ろされているのが、癪で立ち上がった。
「あんたには、関係者ないっスよ。」
俺は、広瀬センパイを睨んだ。
いつも美空っちの近くにいる、新聞部部長、広瀬センパイ。
美空っちの近くにいるのは、すっげーヤだけど、こいつの記事は、素直に凄い。
読者を惹き付ける文才。
美空っちとの写真と相まって、うちの新聞部は、他校を圧倒する。
だから、悔しいが、センパイと呼んでいるが…。
「おいおい、俺悪くないんだぜ?
卯月が言い出したことなんだから。」
「美空っちが?」
弾かれるように見ると、広瀬センパイは、苦笑しながら、体育館に入ってくる風を感じて、目を細めていた。
「卯月が、新人の胡桃ちゃんじゃ、遠くて動く被写体を撮らなきゃいけない、野外スポーツは撮影難しいって、判断したんだ。」
「……。」
「だから、アイツはお留守番。
今ごろ、学校のグランドで、野球小僧、撮ってるよ。
この夏は、甲子園と千葉国際総合水泳場の二本立て。
でも大丈夫。君たちは、うちの胡桃ちゃんがしっかり撮るから、安心して。」
広瀬センパイは、明らかになにか察してて、笑いながら俺の肩を叩いた。
「そんなんじゃ…ないっス……。」
美空っちの、撮影に対する真摯な姿勢を知っている
分かってるけど
今、この場で
俺だけを撮ってほしい。
「美空っち。」
俺は、一言呟いて、練習に戻った。