第11章 夏だ!合宿っ!!
[涼太]
「よしっ!ラスト一本っ!」
笠松センパイの声で、休憩前のシュート練習をする。
最後のシュートがゴールネットを揺らし、ボールが落ちた。
「10分休憩っ!」
部員は思い思いに休憩に入る。
蝉がなく軽井沢。
俺たちは、IH直前の調整合宿に来ていた。
「胡桃ちゃん、可愛いなぁ~♪ショートカットは好みじゃなかったけど、胡桃ちゃんなら……アリっ!」
森山センパイは、ドリンクを持つ手に、グッと力を入れた。
「練習に集中しろ、バカッ!」
そこに笠松センパイの蹴りが飛ぶ。
「…美空っちは、来てないんスね。」
俺は、汗を拭きながら、体育館で取材している広瀬センパイと胡桃サンを見た。
「あぁ、卯月は、野球部と水泳部の撮影に行ってるってさ。広瀬が言ってたぞ。」
小堀センパイが、タオルを首に巻いて、ドリンクを飲んで言った。
「贅沢言うなっ!可愛い胡桃ちゃんがいれば、ヨシッ!可愛いは正義だ!」
まだ、変なとこにスイッチが入っている森山センパイに苦笑して、俺は体育館の出口に腰掛け、グッと身体を反らして空を見る。
『美空っち。なんでいないんスか……?』
俺が物思いに耽っていると、
「黄瀬くん、調子はどーよ。」
広瀬センパイが、ニコニコ手を振って近付いてきた。