第10章 新しいカメラマン
[涼太]
「おいっ!なんだ、あの可愛い女子は!」
森山センパイのテンションが、MAXに上がっている。
俺は、そんな女子より、美空っちが気になってしょうがない。
「あぁ、なんか今日から入部した、新しいカメラマンだそうだ。」
笠松センパイが、森山センパイに説明した。
『ふーん…。』
美空っちは、その新参者と広瀬センパイに挟まれている。
何か説明して、三人で笑っている。
『…何、話してるんスか…。』
俺が最後に見た美空っちは、そんな顔してなかった。
失恋したのに、思いは募る一方で。
体育館の二階を見上げると、美空っちと目が合った。
そして、すぐ視線を反らされてしまう。
「……っ」
『あんな反応されるぐらいなら、あんなこと、しなきゃよかった…』
俺は、苦い思いをして顔を歪め、練習に戻った。