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~ファインダーの向こう側~【黒子のバスケ☆黄瀬】

第9章 初めてのキス


[涼太]

予感はあった。



あんな風に、俺と話をしてくれる女子はいなかったから。



バスケットを本気でプレーする俺を、真剣に撮っていてくれたから。



その写真はすべて、心情までとらえた、渾身の写真で。




そして、いつからか、廊下に貼られる校内新聞を、楽しみにしてる自分がいた。

新聞の写真を見るたびに、美空っちのことを考えて。

三年生の教室に会いに行くと、何だかんだで俺の話を聞いてくれて。


そして、今、俺を見て、すっげー綺麗に笑うから。


気がついたら、美空っちに全部持ってかれてた。





「俺、美空っちのこと、好きっス。
俺と付き合ってください。」


驚いて停止している美空っちの両手を、そっと俺の手で包んで握る。


「!」


美空っちが、ボンっと頭から湯気を出しそうな勢いで、赤面した。


「えっ!えっ!!」


アワアワと焦っている美空っちを見ていると、なんか面白くなってきて、笑う。

こんな顔、はじめて見る。

好きな人の新しい一面は、こんなにも嬉しいものなのか…。

俺は、胸があったかくなるのを感じる。

すると、美空っちが赤い顔をしたまま、小さい声を発した。


「ご…」

「ご?」


俺は美空っちの顔を覗き込み、小さい声を聞こうと耳をすました。


「ごめんなさい。」

「ごめんなさい…?…え?え?!」


言われた意味が分からず、俺は放心した。


「黄瀬くんには、もっと素敵な人が現れる。だから、ごめんなさいっ。」


そういって、俺の手をほどいて、ダッシュで帰ってしまった。


「俺……フラれ…た?」


さっきまで感じていた幸福な思いが、一気に崩れ去る。


「俺、フラれるのはじめてっス…。」


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