第1章 派手な後輩
【涼太】
「はぁ、なんかやる気がおこんないっスね。」
俺は、購買へ昼ご飯を買いに廊下を歩いていた。
中学を卒業して、かつての仲間がバラバラになってしまって…
『やっぱり、寂しいんスかね…?』
そんな寂しい気持ちを胸にしまう。
まさかこんな寂しい気持ちを抱くことになるとは、思ってもいなかった。
俺は、自分自身に苦笑しながら歩いていると、
「あ、あれっ。」
「きゃ、かっこいいっ!」
「黄瀬くんに会っちゃった☆」
名前も知らない女子たちが、俺を見て頬を染めている。
俺は、ヒラヒラ手を振り愛想笑いをして歩く。
『はぁ、“見られる”っていうのも、ずっとだと疲れるっス…』
中学を卒業して出るようになったため息を着いて購買に急ぐ。
『さってと、昼飯かおっっと。』
落ち込む気持ちを奮い立たせて、明るい気分で購買に着くと、いつも接客してくれるおばちゃんと目が合う。
「お姉さん、おにぎり2個と焼きそばパン、コロッケパンにタマゴサンド、後、メロンパンください。あ、紅茶もっス。」
注文すると、おばちゃんは三割増の笑顔で、注文品を用意してくれる。
お金を渡すと、おばちゃんは頬に手を当て、
「はぁ、相変わらずイイ男。私が後、二十年若ければねぇ。」
「あはは、ありがとうっス。」
毎度交わされるやり取りに、笑いながら答えると、隣に女子二人のうち一人がこっちを見上げていた。
購買に用事かと退こうとすると、
「黄瀬くん。」
突然呼ばれて少なからず驚く。