第37章 ☆海常高校文化祭☆
[涼太]
「さっきの放送!黄瀬くんプールに向かうんじゃない?!」
「じゃあ、張ってれば捕まえられる?!」
「そうかもっ!!!」
そんな会話をする女子達が、プールの入り口を張っていて中に入れそうにない。
マジっスかっ?!
俺は心の中で舌打ちをして、引き返す。
さっきの放送。まさか美空から、“信じてるから!頑張って!!”なんて言ってもらえる日が来るなんて!
…でも、出来れば手を広げて俺を迎えに来て欲しかった気もするけど…。
なんて、苦笑しながら走る。
入り口は塞がれた。
フェンスを上るのも、尾っぽ捕まれるかもしれない。
だとすると……。
俺は部室棟側へ走っていく。
「あっ!!黄瀬くん、部室棟に逃げ込むわ!!」
「部室棟はノーマークだった!!!」
俺を追う人々が、悔しさを滲ます叫び声をあげている。
海常高校のプールは、グラウンドの脇、部室棟の後ろにある。
俺は1階平館の部室棟へ、ダッシュで走り込み、部室棟の窓枠を掴んで、一気に屋根へ上った。
「あっ!!!」
「くっそっ!!ずっけーーー黄瀬っ!!」
追ってきた人たちも屋根へは上るのを躊躇うのか、下から文句を言っている。
俺は、さすがにジャケットを脱いで片手で持った。
「この勝負、俺の勝ちっス!」
そう言って、反対側を見ると…