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~ファインダーの向こう側~【黒子のバスケ☆黄瀬】

第37章 ☆海常高校文化祭☆




[美空]


少し前のプール。



「はい。撮影終わりました。これをあそこの神主さんに渡してきてくださいね。」


私は、撮影し終えた人たちにメモリーカードを渡して一息ついた。
あれから、なにやらグラウンドが騒がしい。
私は、プールを囲う水色のフェンスと目隠しの木を見た。あの先にグラウンドがある。


「黄瀬くん今グラウンドで逃げ回ってるって!今から追いかけたら、私たちもチャンスあるかもっ!!」


プールの入り口で並んでいた女子達が携帯で連絡を取り合っているらしく、興奮した様子で走っていってしまった。


「…あーぁ。今の放送で、お客さん。女子がいなくなっちゃったな。」


ぼやきながら私へ近づいてきたのは、神主姿の広瀬。


「…休憩したかったし、いいんじゃない?」


私は、首からカメラを外し、カメラケースの中へ戻した。


「“いいんじゃない”って、本気かい?」


カメラケースの前でしゃがむ私に、広瀬は茶化すように話してくる。


「…ま、お前の彼氏はあの黄瀬くんだもんな。それぐらいの余裕が必要なのかね?」


反応のない私にさらに続ける広瀬。
私はケースを閉じて、広瀬を振り向いた。


「…余裕なんてない。…でも、信じてる。涼太は捕まらない。」

「でもさ、時間制限とかも設けられてないみたいだろ?誰かが黄瀬を捕まえるまで、この騒ぎは収まらない。」

「………。」


確かにそうだ。でも、今持ち場を離れたくはない。
そんな恋をしたからといって、ここでの責任を放り出したくない。
自分の中のジレンマに、唇を噛むと、広瀬が笑う息遣いを感じる。

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