第37章 ☆海常高校文化祭☆
[涼太]
“衣装脱いで逃げるとか、尻尾取って隠すとか、そんな男らしくないことすんなよ、黄瀬ー!!”
森山先輩のよく響く低音ボイスが、マジをよく伝えてくる。
そして
ピンポンパンポン~♪
恐ろしい放送を終える鉄琴音が、学校中に響き渡った。
まず、場所が悪い。
俺は、美空がいるプールへ最短距離を走っていた。
どこを?
うん。
結構な人数集まる・グラウンド。
「ぁーー………。」
そして、まー目立つ目立つ。この衣装。愛らしい頭のうさ耳がまるで“こっちです♪”と手招きしているように見えることだろう。
ヤバい……。
そう思った瞬間、女子の黄色い悲鳴が随所で響いた。
グラウンドにいる女子達は、「ねぇ、ホントかな?」「黄瀬くんに本当かどうか聞いてみる?」とか、囁あいながらも、俺を囲み始めている。
じょ、冗談じゃないっ!!そんな知らない女の子とキスしたなんて知ったら俺絶対振られる!!嫌われるっ!!!
俺は、背中に冷たい汗が流れるのを感じて、考える。
…とにかく、この場から逃げよっ!!
「俺、好きでもない子とキスしないからっ!!」
ごめんねー!!!!っと叫びながら、自分の尻尾を左手で握り囲い始める女子達の間をすり抜けた。
しかし、今の言葉でさっきの先輩放送がマジだと伝わってしまい、勢いのある女子が俺を追っていた。
「待ってーーーー!!!黄瀬くん!!!!」
「ゲームだろうと、キスはキス!絶対キスしてもらおう!!」
「イケメンとキスっ!!絶対ゲットしたいぃぃぃぃ!!」
「じゃ、俺とキスしろよ、黄瀬っ!!」
「優しくするゼっ!!!」
口々に叫びながら、俺を追いかける女子。
そして、騒ぎを面白がって便乗する男子。
「冗談じゃないっス!!!美空っ!!」