第37章 ☆海常高校文化祭☆
私は受け取ったUSBカードを差し込んで、3人組に説明を始めた。
「プールの中にはアクリル台が仕込んであります。あのハートの中以外は絶対に動かないでください。ジャンプも禁止。滑って転んで危険です。
今の約束ごとを守ってください。分かりましたか?」
そういうと、3人はうんと頷いてわかってくれた。
「じゃあ、ゆっくりとプールの中に入ってください。今、橋を掛けますね。」
私の合図で、ハートの中の撮影スポットに橋が架けられた。
三人の女子生徒は、楽しそうに一人ずつ橋を渡っていく。
「はい、では撮影しますよ。」
こうして、また縁結び撮影を続行することにした。
すると
ピンポンパンポン~♪
《黄瀬ーぇ!テメェードコで油売ってんだぁ!早く帰ってこい!!シバくゾ?!》
校内放送で、笠松くんの怒声が響く。
プールサイドにいた生徒たちも、その放送に驚いて思わずスピーカーを見てしまう。
すると
《おい、黄瀬。どーせ呑気に校内で女子ハベらせてブラついてんだろ?くっそ、羨ましいっ…。あ、ゴホンッ!そこでだっ!部員全員で決めたんだ。
…バスケ部サプライズプレゼンツ!!今から、校内でサボってるであろう黄瀬のウサ尻尾を掴まえた人には、黄瀬とのキッスを進呈しまーす。》
この声は、森山くんだ。
私は弾けるようにスピーカーを見上げ、今の放送内容に眉を潜めた、そして続く放送に耳を傾ける。
《今謝って帰ってきたら、ガッツリド突き回してやるから覚悟しろっ?!》
《ってな訳で、黄瀬、頑張れよ!》
ピンポンパンポン~♪
森山くんと笠松くんの放送が唐突に始まり終わると、校内が騒がしくなった。
主に女子生徒の声が、キャーキャー響いている。
きっと、さっきの放送で涼太のキス欲しさに、騒いでいるのだろう。
私はもってるカメラに視線を落とした。
…気にならないって言ったら、嘘。
涼太を誰にもとられたくない。
でも…
プールの中で待つ女子生徒たちを見ると、彼女たちは携帯を片手にソワソワしていた。
そんな彼女たちに笑い掛け、声を掛けた。
「はい、では、最高の写真撮影にしましょう!」
大丈夫。
涼太、きっと逃げきってね。