第37章 ☆海常高校文化祭☆
廊下の人混みを得意のクイックで避けて、準備教室に逃げ込んで一息つくと、その廊下溜まっていた男子が何やら話をしていることに気がついた。
俺は黙って外の会話を聞くことにした。
「おい、巫女さんに写真撮って貰ったか?」
巫女さん?そんな出し物してるとこあんの?
俺は、写真という単語が気になって、そっと廊下側の壁に耳をつけた。
「ってか、巫女さんと一緒に写真撮りたいよな。」
「分かる!俺ら、縁結びする女子いねーし。」
「だよなぁー。」
「どっちタイプ?」
「んー…、俺は髪の毛が短い子かな。フワフワな天使ちゃんって感じでいいよな。彼氏いんのかなぁ?」
「俺は断然、ポニーテールの子。たしか3年の卯月美空だったよな。」
その言葉に俺は立ち上がり、準備教室の扉をわざと大きな音をたてるように開けた。
すると、今までしゃべっていた男子たちが、突然の俺の登場に驚いて言葉を失っている。
俺は、そいつらを見渡して微笑んだ後、目をギラつかせてやつらを見据えた。
「美空は俺のだから、絶対渡さないっスよ…。」
その瞬間、溜まっていた奴らは狼狽えた。
「…な。なんなんだよ、お前っ。」
「ってか、お前黄瀬だろ?何、卯月ってやつと付き合ってんの?」
美空と付き合っていることは、結構知れ渡ってると思っていたのに、そうでもなかったようだ。
俺は両手を握りしめ前を向いた。
「付き合ってるよ。お前ら、手ぇ出すな。」
強い口調で威嚇すると、看板をソイツらに投げ渡した。
「それ、俺の代わりに校内宣伝しておいて。じゃ!」
そう言うと、廊下をダッシュで走って行く。
あっけに取られた男子たちと看板を残して。