第37章 ☆海常高校文化祭☆
校内は、明日の文化祭の準備で賑わっている。
廊下もワイワイとジャージ姿の子達が作業していたり、楽しそうにしゃべっていたり、充実した空気が伝わってくる。
私は、自分の格好を今一度見て女子更衣室に急いだ。
今日はこれから、父のスタジオで手伝いの約束がある。
私は赤の袴を靡かせて、廊下を早足で歩いていくと、廊下に出ている生徒のぶしつけな視線を感じた。
ふつふつと感じる、この不快感を誰にもぶつけることが出来ず、自然と更衣室に向かう足取りに力が入る。
渡り廊下を渡ろうと足を向けると、その窓から夕日が入ってきていて、私はピタッと足を止めた。
「…キレイ…。」
私は、渡り廊下の窓の前で止まって、夕日を眺める。
5時10分前なのに、もう夕日なんだな…なんて、ゆっくり思い、同時に来年の自分はどこで何をしているのかな?なんて、考えて眉を下げた。
進路は決めたはずだった…。
なのに、父が帰ってきて提示されたもうひとつの道。その道にどうしようもなく惹かれている自分がいる。
だけど、その道は………。
この文化祭が終わったら、決めなきゃいけない。
「…決めなきゃ…。」
ぽつんと呟いた後、また更衣室に足を向けた。