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~ファインダーの向こう側~【黒子のバスケ☆黄瀬】

第37章 ☆海常高校文化祭☆


[美空]


海常高校 文化祭前日

新聞部 部室


「なんで今年も、こんな格好をしなくちゃいけないの…。」


私は、呆れ顔でため息をつきながら、自分の席についてカメラの調整をしていた。
すると、それを見に胡桃ちゃんが近づいてきて苦笑していた。


「私も同感です。でも、しょうがないですよね、毎年恒例の出し物なんですよね?これ。」


胡桃ちゃんは、着ている赤の袴を両手で摘まんだ。
そう、私たちは明日の予行練習ということで、巫女さん姿になっていた。
そして、


「そーそー。新聞部の出し物、《縁結びの写真様》の為だよ。この前みんなでお祓いもお清めもしたし、これでご利益バッチリでしょ。」


ニコニコしながら、席に座り頬杖をしているのは、水色の袴と白い着物の神主姿をした広瀬だ。
そんな広瀬の笑顔に、普段は天使のような胡桃ちゃんが、軽く睨みをきかせた。


「部長、その視線はセクハラだと思います。」

「え?!なんで?!」


広瀬はわざとらしく驚いて、他の部員たちに助けを求める顔をしている。
そんな様子を見ながら、私は小さくため息をついた。


そう。
私たち新聞部の出し物は、毎年恒例の縁結び写真。

写真担当の私たちカメラマンは、巫女さん姿で校内に作った撮影スポットで撮影会をすることになっていた。
でも毎回、やっているけど馴れない。

憂鬱な面持ちで、この前新調した自分のカメラのレンズを覗き込んだ。


「でも、センパイの巫女さん姿は、黄瀬さんが喜びそうですね。」

「え?!」


唐突に胡桃ちゃんから出た涼太の名前に、私は狼狽え胸をドキドキさせる。

顔を赤くして、そっぽを向くとそんな私の反応が楽しいのか、次は広瀬のニヤニヤ声が聞こえる。


「確かに。こういうの好きそうだよね、彼。」

「…涼太には教えないつもりよ。もー、変なことばっか言ってると、新聞部の撮影じゃなくて、学校のパンフ用撮影に全力注ぐわよ。」


そのままからかわれ続けるのも面倒で、手入れをしていたカメラを仕舞い立ち上がった。

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