第36章 ☆誠凛高校学園祭☆
「もしもし。」
『黒子っち!今、正門前にいるんスけど、ドコにいるんスか?』
「……。」
僕は、一息ついて、黄瀬くんの回りに集まる女子達の間をすり抜け、誰にも悟られず、黄瀬くんの目の前に立った。
「ここです。」
「『へ』」
僕を捉えた黄瀬くんは、目を見開き、携帯を持ったまま大声で叫んだ。
「『うわあぁっ!!!』」
「…黄瀬くん、うるさいです。」
僕は携帯の通話を切り、黄瀬くんを見上げる。
「く、黒子っち。相変わらず、影薄いっスね。」
「相変わらずは余計です。」
「もーー!黒子っちは相変わらず、ツレナイッスねー。
っと、センパイッ!黒子っちが迎えに来てくれたみたいッス!」
黄瀬くんは、いつものシャラい笑顔を振り撒き、携帯を仕舞い、手を振って海常メンバーたちを呼んだ。
「お、透明少年。」
「お久しぶりです。笠松さん。」
笠松さんが、森山さんと早川さんの首根っこをひっ掴み、その後ろを、小堀さんが笑いながら着いてきた。
「でっ!!おい、黄瀬ぇっ!お前はナニしてんだよっ!!!」
「スンマッセン!」
僕たちが挨拶している間も、女子に囲まれる黄瀬くんに、ガシガシと笠松さんの蹴りが炸裂した。
痛そうに、腰を擦りがなら僕らの輪に入ってきた黄瀬くんを見て、ちょっとした悪戯心が湧く。
「…ヒドくないッスか?ただ、女の子がオレに寄ってきただけなのに…。」
「……卯月さんが、いなくて良かったですね。」
「?!…く、黒子っち?そんな!?これ浮気とかじゃないじゃないッスよ?!」
「浮気だなんて、僕は言ってません。」
「黒子っち~…。」
この前会った、綺麗でハツラツとした雰囲気の卯月さんを思い出して、クスッと笑った。