第35章 ストバスコートで
「そーいえば、2人とも、なんスか?コレ。」
涼太は黒子くん達が持っている紙袋を覗こうとすると、黒子くんが中身を隠すように、袋を抱き込んだ。
「これは、文化祭の準備で、買い出ししてきたんです。」
「え?!黒子っちのとこ、文化祭っスか!いついつ??」
「来週だよっ。俺達、部活の方の出し物があっから、クラスの方は、買い出し班になったんだ。」
火神くんがクラスで何かあったのか、ウンザリした顔をしていた。
その情報に涼太は目を輝かせて、ワクワクしている。
「行く行く!!来週っスね!絶対行くっス~♪美空も、俺と一緒に行くよね?」
行く気満々の涼太に、私は残念ながら首を振った。
「私は………ちょっと用事があるから。」
「用事?何?何の用??」
「えっと…。ちょっと、家の用事。だから、涼太は、黒子くんと火神くんに遊んでもらって。ごめんね。」
「遊んでって…。」
私を見て、涼太がポカンとしていると、黒子くんが横から冷静にツッコんだ。
「…なんか、卯月さんは、黄瀬くんのお母さんみたいですね。」
「ナニ失礼なこと言ってるんスか?!美空も!遊んでもらってとか言うから!!」
涼太がワタワタと、私に訴えてくる。その姿もまた珍しくて、笑ってしまう。
「まぁ、文化祭来んなら、来いよ。3on3のイベントするし、勝負しようぜ?」
「へー!いいっスねっ!じゃ、しょうがないから、部活の先輩達とでも行くっス。」
「おうっ。」
火神くんからの魅力的な誘いに、涼太は行く気満々になって、それを見た火神くんも嬉しそうだ。
すると、黒子くんが、携帯を取り出して、
「火神くん、そろそろいかないと。」
「あ、いけねっ!黒子行くぞっ!」
「はい。あ、黄瀬くん、卯月さん、では失礼します。」
「またな、黄瀬!後…えっとアンタも!」
黒子くんと火神くんは、慌てて誠凛へ帰って行ってしまった。