第34章 お見舞いの花束を…
「あ、そうだ。これ、黄瀬くんにあげようって思ってたんです。」
「何スか?」
「美空センパイの、隠し撮り写真。」
「マ、マジっスか?!」
興奮して、前のめりになると、胡桃っちは少し驚いて、いたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「…この夏の合宿で、撮影に勤しんでいる美空センパイを撮ったんです。
美空センパイの、カメラを構えている時の顔、すごーーっく魅力的で素敵なんです。」
胡桃っちは、興奮気味に俺に訴え、ベッド横のワゴンの引き出しから、封筒を出して俺に手渡した。
「うわっ!うわっ!!スゲー嬉しッ!!!」
俺は、興奮した面持ちで、封筒を両手で受け取った。
「…私を助けてくれたの、黄瀬くんだって聞きました。だからこれは、そのお礼です。」
「…俺が原因だったんスけど…でも、ありがたく貰っておくっスね。」
胡桃っちにウインクをして、封筒を胸ポケットに入れた。
すると、美空が花を生けた花瓶をもって、病室に帰って来た。