第34章 お見舞いの花束を…
「お待たせ、2人とも。」
美空は花瓶を、さっき俺にくれた写真が入っていた横のワゴンに置いた。
「全然待ってないっスよ。」
「お手数お掛けして、申し訳ありません、センパイ。
…それより、センパイ!
黄瀬くん、久しぶりのオフなんですから、2人でデートしてきたらいいんじゃないですか?」
胡桃っちが、俺に目配せしてきた。
「え?でも………。」
渋る美空の手を取って、俺は、胡桃っちにウインクをする。
「そーっスねっ!って、俺たち、デートっていうデート、したことなかったっ。ねぇ、美空。」
「…そういえば………。
って、でも、今日は胡桃ちゃんのお見舞いで…。」
美空も、気がついたようだけど、今日はお見舞いをするだけだと思っていたようで、戸惑っていた。
「行ってきてください。今日は天気もいいし、絶好のデート日和ですよ。」
胡桃っちが俺にアシストをしてくれたので、俺は心の中で感謝して、美空の手を引いた。
「じゃ、胡桃っちのお許しも出たところで、行くよっ、美空。胡桃っち、お大事にっ。」
「ちょ、涼太!あ、胡桃ちゃん!学校でね!お大事に!!!」
胡桃っちに別れを告げて、足早に俺たちは、初めてのデートに向かうのだった。