第34章 お見舞いの花束を…
[涼太]
「…ホント、ごめんっス。」
俺は、美空が出ていたのを確認してから、胡桃っちにもう一度謝った。
「もういいんですよ、黄瀬くん。
…私が、許せなかっただけなんです。
…美空センパイ、カメラ壊されちゃったのに、事件にしないで欲しいって言ってたのに…。」
「……。」
「…大事なカメラを、部室に置き忘れた自分が悪いって。きっと悲しかったし、辛かったと思うのに、私たちに心配掛けないように、笑って言ってました。」
俺は、美空に出会ったときからの事を思い出す。
「……美空、俺にもカメラ持たせたことなかったんスよ。よっぽど大事なんだって思ってた。」
「ですよね。だから、余計に腹立って…。」
「それは、俺でも激怒っス。」
そう言った後、俺たちは笑った。
すると、胡桃っちが思い出したように、両手をパチンと鳴らして、俺を見上げた。