第32章 報復
「美空センパイは、いつも一生懸命で前向きで、部活動以上のこともしてる、本当に優しい人です!
…これ、なんだか分かりますか?」
胡桃サンは、バックの中から、C D ディスクを出した。
「…何それ。何で、あたしらの名前が書いてあるのよ!」
怒気を含んだ女子の声に、俺は割って入ろうとして、止まる。
「これは、貴女たちの記録です!
…貴女たちが、この高校で過ごしている日々を、記録しているんです。
…貴女たちの写真、どれも素敵な写真ばっかりだった。
……美空センパイは、全生徒の高校生活3年分を残して、卒業の時、贈るようなっ……そんなセンパイなのにっ!!」
俺は、胡桃サンの言葉に、驚き戸惑った。
美空は、まだ俺の知らない美空がいる。
この前のことも、何か理由があるのかもしれない。
俺が、美空を思い、目を放した隙に、その女子はあろうことか、胡桃サンに掴みかかった。
「危なっ!!!!!」
俺が気づいて走る前に、胡桃サンの身体は、囲んでいた女子に押され、階段から落ちていく。
俺は、花壇に倒れた胡桃サンに近づき、叫ぶ。
「胡桃サンっ!おいっ!しっかりしろっ!!!」
「んっ……。」
どうやら、頭は茂みに助けられたようで、大きな外傷もない。
俺は、階段の上にいる、女子を睨み付けながら、携帯で救急車を呼んだ。