第29章 嫌がらせと迷える心
[涼太]
高校に入ってから、俺は色々な出会い・感情を知ることになった。
バスケ部で笠松先輩と出会って、
黒子っちと戦って、
美空を好きになって、掴まえて、
青峰っちに負けた。
今は、この負けをバネに、もっと強くなろうと、バスケ部一丸になって練習に明け暮れている。
夏休みを全部練習に費やし、新学期が始まった。
俺は最近、練習・食う・寝るしか考えられなくて、教室でも寝ていることが多くなった。
今も、新学期初っぱなの授業を寝て過ごし、放課後、俺は体育館へ急いだ。
バッシュを履いて、フロアをモップ掛けする。
先輩たちも集まり出し、WCへ向けて、過酷な練習が始まった。
練習が終わって、2階席を見上げるが、いつもいる新聞部がいない。
まぁ、今、バスケ部はオフシーズンといっても過言じゃないため、他の部に取材に行ってるのだろうと、結論付けた。
俺は練習後も、居残り練習をしていると、小堀先輩が心配そうに俺に話しかけてきた。
「卯月、落ち込んでなかったか?」
「え…?美空、なんかあったんスか?」
「お前、知らないの?」
俺が驚いていると、小堀先輩も、そんな俺に驚いていた。
「新聞部の新聞さ、破り捨てられてたらしい。しかも、全部。」
小堀先輩は、バツが悪そうに持っていたボールを弄ぶ。
俺は眼を見開いて、急いで部室にある携帯を取りにいった。
『美空、俺聞いてないっス!!』
部室のドアを勢いよくあけ、携帯電話を取り出した。
そして、美空の番号を呼び出し、コールする。
《はい、卯月です。》
「あ、俺!」
《ただいま電話に出ることが出来ません、ピーっとなったら……》
携帯から、留守電の文言が聞こえてくる。
『なんでっスか?!』
俺は苛立ちを感じて、携帯を持つ手でロッカーを殴り付けた。