第2章 写真に写る違和感
それから練習が始まった。
いつも通りのキツい練習メニューに始まる前は、「キメるぜっ!!!」と息巻いていた部員たちが、今はみる影もない。
『あーぁ、みんな、いつもと一緒っス。』
中学を卒業してから、練習も全然楽しくなくて、最近はバレない様に手を抜いていて。
皆を冷静に観察していた。
すると、
「あー…しっかし、エロい…」
「あっ?!お、オマエ何言ってんだっ」
笠松センパイと森山センパイが、何やら騒いでいた。
「だって、あの口元にあるほくろ。小さいのに、それが卯月の魅力を引き立たせるっていうか…。しかも卯月はスレンダーな癖に、ちゃんとあるし。」
「何が、あるんだよ。」
笠松センパイが、本当に分からないのか、森山センパイに聞くと、悪い笑みを浮かべたセンパイが口を開く。
「そりゃ、おっぱぁ…っ!」
と、言い掛けたとこで、小堀センパイのパスボールが横っ面に当たった。
「おい森山、ごめん。大丈夫か?」
『なんて、無残なんスか…』
オレはセンパイの様子を見て、残念な気持ちになる。
『……やっぱ、つまんないっス……』
助走して、自分に上げられたボールを軽々ゴールへ叩き込んで着地した。