第2章 写真に写る違和感
【美空】
『…アイツら、マジちゃんと練習しろっての……』
反対側にいる同級生トリオが、ギャーギャーしている。私は、呆れながらシャッターを切った。
そして、ファインダーから顔を外すと、体育館の宙にボールが放たれていた。
直ぐに構えてボールを追うと、“黄瀬涼太”が空中でボールをキャッチ、そしてゴールへ叩き込んだ。
黄瀬涼太のダンクをいいアングルで撮れて一先ずホッとする。
そして、他の選手も次々に撮っていった。
散々撮り尽くして、バスケ部も練習を終わろうとしてるので、私も、今まで撮った写真データをパソコンに移した。
移しながらチェックをしていると、違和感を感じる。
『黄瀬くん………』
すると、モップがけをしていたのか、モップの先に顎をのせて、黄瀬くんが立っていた。
「いい写真、撮れたっスか?」
私は、もう一度今日撮った写真のデータを見て、黄瀬本人を見た。
そして、頭に浮かんだ言葉を口にしていた。
「君は、バスケ楽しくないの?」
私の言葉を聞いて、黄瀬くんは目を見開いていた。