第8章 スラグクラブ
日曜日。セブルスとダモクレスがいつものように温室でお茶を飲みながら過ごしていると、キラがバタバタと走ってやってくる。
「おはようございます! あの、クリスマス休暇は、お家に帰られますか?」
着くなり、挨拶もそこそこにキラはセブルスにそう言った。
「いや。残るが…何か用でも?」
「本当ですか!」
パァッと顔を輝かせたキラに彼は眉を顰める。
一体何を考えているんだ、とでも言う顔をするのでキラは慌ててスラグホーンからの招待状を見せた。
「私と一緒にクリスマ――」
「おやおやおや? それ、スラグクラブじゃないのー」
全部言い切る前に、キラの持つそれにダモクレスが驚いたように目を丸くする。
「え…知ってるんですか?」
「知ってるもなにも…俺もセブルスも、メンバーだからね。キラってば、もう入ったんだー」
「お前が?」
ダモクレスの言葉にセブルスが首を傾げる。
「あのブルーム家のお嬢様とはいえ…早いよねー」
うんうん頷くダモクレスであったが、キラには一体何のことだか理解が及ばない。
「ちょ、ちょっと待ってください、どういうことですか? スラグクラブとか、早いとか…」
目を白黒させているキラの顔を覗きこんでから、ダモクレスは順を追って説明し始めた。
スラグクラブとは、スラグホーンが将来に見込み有りと思った生徒を集めて食事会をするというクラブで、そのメンバーは主に成績優秀者、上流階級や財閥などの名家の嫡子、クィディッチチームのエースなどである。
ダモクレスとセブルスは成績優秀者、そしてキラは名家出身者ということになる。
しかし、スラグホーンはスラグクラブには高学年…つまり"お話しの分かる"年齢になった者しか招待しないのが常であったため、二人は驚いていた。