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【HP】月下美人

第6章 ハロウィンの夜に


「キサマッ…黙れ!」
 セブルスの顔が真っ赤に染まる。
 怒りに体が震えた。
 ぶるぶると揺れるセブルスの姿に、キラは胸が苦しくなる。
「そうだな…お前みたいな根暗野郎に女の子がついていくとも思えない。一体どんな手を使ったんだ? 惚れ薬か?」
 馬鹿にしたような、なおかつ汚いものを見るような目でシリウスはセブルスを見る。
(何なの、この人…最低!)
 自分の尊敬する人をこんな風に言われるなんて。

『アンタの方が最低よ!!!』

 パンッ!と音がして、気づけばキラはシリウスの頬を打っていた。
「…え…?」
 シリウスは今何が起こったのかわからず呆然とする。
 あのシリウス・ブラックが女子に平手打ちを食らうだなんて。
 セブルスもあまりのことに開いた口がふさがらない。

『そもそも初対面の女子にあんなことすること自体おかしいのよ!頭イカれてるんじゃない?!』
 そこまで日本語で言って、一呼吸置く。

「――You are digusting!」
 最低な男!と言い捨てた。
「なっ」
 シリウスが一瞬で気色ばむ。
 しかしそれを無視して、キラはセブルスの手を取った。
「セブルス!こんな人放っておいて行きましょう!」
「あ、あ…?」
 そこでやっとセブルスは気づいた。
 キラだと思っていたその女子生徒は、確かにキラにそっくりであったのだが。
「お前…?」
「話は後です!」
 セブルスはそのままキラに似た女子生徒に引きづられるようにして走り出す。
「お、おい、待てよ!」
 シリウスの制止の声など聞きはしない。
 小さくなっていく二人の後ろ姿にシリウスは舌打ちをした。

「あんなヤツいたか…?」
 同年代か、年上か。
 あんなに可愛ければ、友人であるジェームズとの話題に上るはずである。
 それがたとえスリザリンでも。

 シリウス・ブラックとは、そういう男であった。


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