第6章 ハロウィンの夜に
そうしてあれよあれよと言う間に、中々手の込んだ猫娘…もとい、猫の仮装となってしまった。
キラはええい、ままよ!と薬をあおる。
「っま、ず…!!」
げほっとむせはしたものの、何とか薬を飲み干した。
「…………」
鏡を見る。
なんだか頬がむずむずしてきた…と思ったら、ピョコンと三本ずつ、左右の頬にヒゲが生えてきた。
「おぉ~…」
鏡に映った自分は、自分じゃないみたいだった。
いつもは真っ直ぐな黒髪も、今日はゆるく巻かれてボリューム感があり、前髪もサイドに流した。
エメラルドグリーンの瞳の周りを黒く縁取り、アイラインは軽く跳ね上げてある。
真っ赤な口紅が、猫というより悪魔っぽい雰囲気をかもし出している。
そして極めつけは、やはりヒゲである。
(うわぁ…すごいなぁ、これ)
ちょっと引っ張ってみると痛かった。
「まぁ! アニー、見てよ!キラったらすごいわ!」
「わぁ…猫ちゃんそのままだね!」
三人で仲良く写真を撮る。
魔法界のカメラは現像すると映ったものが動くのだ。
どんな写真になるのか、キラは楽しみで仕方がなかった。
「さ、行きましょ!」
「うん」
三人で連れ立って歩いていく。
談話室ではダモクレスが待ち構えていた。
「おおー、さっすが俺だねー。完璧だー」
ニコニコしながらキラのヒゲをつんつん引っ張ってくる。
「ちょっと痛いです…」
「おや失礼。見てよセブルス!キラったら可愛いよー」
ダモクレスがセブルスの本を取り上げたので、セブルスは仕方なしにキラたちの方を見た。