第26章 第二部 謀策
こんなこともできないのか?という蔑むような目で見られるのは耐えられない。
スラグホーンに対してそういう風に思ったことはなかったが、彼は違う。
認められたいという気持ちが強過ぎるのだ。
「ほんっと、相変わらずセブルスloveだねー」
「変な言い方しないで下さい。そんなんじゃなくて…respect、です」
respect…尊敬、でもしっくりしない言葉だけれど、loveなんかじゃない。
執着とでも言えばいいのか。
「とにかく。私は魔法薬学の教授になりたいんです。セブルスが来なければ…スラグホーン教授の後釜に滑り込める筈だったのに」
「スラグホーン教授も乗り気だったみたいだしねー。残念」
「……正直なところ、どうしてあの人が教職を選んだのか理解できません」
なぜ、あの人嫌いで偏屈なセブルス・スネイプがこんな子ども相手の仕事に就こうなんて考えたのか。
頭がおかしくなったのか。
「…そうだねぇ。びっくりしたよねー」
誰も想像つかなかったはずだ。
確かに、キラにとって良き師だったかもしれない。
(……良き師、だったっけ?)
とにかく厳しかったのは覚えている。
優しい面も……多分あったはずだけれど。
「そういえば――こうやって学校外で会うなんてなかったなぁ」
ダモクレスが遠くを見ながらそう呟いた。
「そうなんですか?」
「あのね。僕とセブルス、そんなに仲良いわけじゃないんだよ? 部屋が同室だったから…研究が好きだったから…ただそれだけ。それ以外での接点ってほぼ無かったんだよねー」
「え? でも…」
「なんていうのかな。友達、っていうのとはきっと違ったね。表面的な付き合いだったと思うよー」
「……そう、ですか」
「キラが一番近かったかもしれないよ」
その言葉に、キラの脳裏にリリーのことが過ぎった。
「そんなこと…ない、ですよ」
それから、ふたりして他愛の無い話をする。
学生時代の思い出話だ。