第26章 第二部 謀策
「それと――もう一つ、目的があって」
「もう一つ?」
「ええ。それに関しては…ピースに手伝ってもらえたら、とても助かると思います」
「僕?」
「はい。お願い…できますか?」
にっこりと笑うキラに、ピースはなんだかとても嫌な予感がした。
でも、好きな子に頼られるのは嬉しくて。
「…僕にできることなら、何でもするよ」
任せて、と言ってしまった自分を、後で責めることになるなんて思いもしなかった。
三本の箒でキラはダモクレスと待ち合わせをした。
ピースは同席したがったが、知らない方がいいこともありますよ、と真顔で言うと引き下がった。
何を手伝わされるのか細かく知るとよろしくないことを察したのだろう。
「と、いうわけで」
「――ふむ。なるほどねぇ。腑抜けちゃったアイツの尻を叩きたいと」
「ええ、まぁそんなところです。私の実験も進まないし。作業するのに許可が必要なのに、そこまで手が回らないみたいで放ったらかしにされてるんです」
ムスッとした表情で言うキラに、ダモクレスはクスクス笑った。
「それで? コレ使ってどうするのさ?」
コトン、と目の前に置かれたその瓶を丁重に受け取りながらキラは言う。
「とりあえず、準備室を占拠します」
「わぉ。それは中々…思い切ったねー」
「低学年のレポートなら、私でもチェックできると思うのですが…やはり私では力不足でしょうか。間違いを見逃してしまったら…と、不安ではあります」
「うーん…そうだねぇ。でもさ、それができなきゃ教授の座なんて奪えないよー? 3年生くらいまでは大丈夫じゃない? よっぽど変なレポート出してこない限り、キラなら出来るよ。どっちにしろ、最後にセブルスに見せるつもりなんでしょー?」
「それは…そうですけど…」
本音は違うところにある。
ちょっとでもミスをして、彼にため息をつかれるのが怖いのだ。