第4章 近づく距離
「ほっほぅ! 素晴らしい出来栄えだ。Ms.ミズキ、Ms.カドワース、次も期待しておりますぞ。スリザリンに10点!」
初めての加点にアニーは目を輝かせてキラの手を握る。
「ありがとう、キラ…!」
キラも祖母の面目を保てたことにホッとする。
そうして完成した薬を瓶に詰めて提出したキラは、他のペアの大鍋をちらっと覗き見た。
なるほど、祖母の言う通り…他のペアの薬は、固めのテクスチャで、塗り薬には少し使いにくそうであった。
また、他のペアは牙の砕き具合が足りなかったのか、ボソボソしたようなものに仕上がっていた。
キラは魔法薬学の奥深さに触れた気がした。
調合後のレポートを羊皮紙に書き綴りながら、キラは教科書をぱらぱらとめくる。
祖母のアドバイスがちりばめられたこの教科書は、このときからキラの宝物となった。
魔法薬学が得意科目になるのは、そう遠くなかった。