第21章 第二部 再会
(大人になっても人付き合いは相変わらずなんだな…)
本人にその気がなければ、あのダモクレスのような変わった人間でもなければ近づこうとは思わないタイプの人種だろう。
キラだって、あの百合の事件のことがなければ関わらなかったに違いない。
セブルス・スネイプという人がどんな人物なのか。
それは、ダモクレスと自分、そして――あのリリーでさえもその断片しか掴めていなかったのだから。
新学年に入って一週間が経った。
授業に慣れた頃、あの男がキラの前に姿を現した。
「――Mr.ロックハート。私の目の前に座らないでいただけますか」
「照れているの? 大丈夫、いつも言ってるけれど遠慮しないで僕を見つめてくれて構わないよ」
「……」
毎度繰り返されるこのやり取りにキラは嘆息する。
セブルスがいなくなってからすぐ。
図書室のキラのお決まりの席の目の前…つまりセブルスの定位置だったところにとある生徒が座るようになった。
最初はセブルスの席を取られることがすごく嫌で仕方なかったのだが、最近はもう彼が目障りゆえに視界に入れたくないと思っている。
半眼で彼を睨みつけるが、キラの視線が本から自分へと移動したのが嬉しいのか白い歯を見せてニッコリと笑いかけてくるその男。
ギルデロイ・ロックハートは一学年上のレイブンクローの生徒だ。
キラが三年になった途端、やたらめったら話しかけてくるようになった。
有名人であるキラの祖母、セシリー・ブルームと同じレイブンクロー出身だ、ということをことあるごとに引き合いに出してくるのだが、レイブンクロー出身者はごまんといる。
一体何がしたいのか、と当初は戸惑ったものだ。
「今日もとってもキュートでエレガントだね。ねぇ、君の髪にキスしてもいいかな」
「嫌です」
クサいセリフに鳥肌が立っていたのは最初だけで、今は雑音にしか聞こえない。
けれど黙っていると良しとされるので拒否の言葉だけは忘れない。