第21章 第二部 再会
そして翌日、魔法薬学の授業が終わり”スネイプ教授”が退室した直後。
教室内はどんよりとした空気に包まれていた。
キラ以外は。
「せっかく予習したのに……教科書を使わないだなんて!」
「あたし…もう授業に来るなって言われたらどうしよう…」
上級生ともなると、ある一定の成績を収めていないと次学年の授業を受けることができなくなる。
スリザリンの生徒は寮監がスラグホーンであったことや優秀なキラの存在が学力を引っ張ってきたこともあり、その半数以上が引き続き魔法薬学の授業を選択していた。
けれどどうだろう。
スネイプの今日の授業は、前任のスラグホーンよりも数段難しく、さらにこちらから質問することさえ憚られるような重苦しい雰囲気であった。
あの知識欲の塊であるレイブンクローの生徒でさえ躊躇するほどだ。
「し、仕方ないよ…今日は皆がどんなレベルなのかを調べるためだ、って言ってたから…ちょっと難しかったんだよ」
「そんなこと言って! キラはきっちり問題に答えてたじゃないの!」
キャリーが今日一度も開かなかった教科書をバンバンと机に叩きつける。
「悔しいわ! こんなこともできないのか、みたいな顔して」
「昔からあんな感じだったの…?」
「え? あー…うーん…そうと言えばそうだけど…違うような…」
厳しいのには違いない。
けれど、あんなにあからさまに見下すような視線を投げかけられたことはなかった気がする。
(いや…でも最初はそんな感じだったっけ…)
キラはうんうん唸ってから、あ!と声を上げた。
「あのね、たぶん、人見知りなんだと思う」
そう言った瞬間、キャリーとアニーは何を馬鹿な、という顔をする。
「キラ、あなた頭がおかしいわ」
「絶対違う…」
「……ご、ごめん…」
キラは思わず謝った。
そしてさらに翌日、スネイプの授業を受けたグリフィンドールとハッフルパフの生徒はさらにダメージが大きく。
新人教授セブルス・スネイプの評判はたった二日でマイナスになってしまった。