第21章 第二部 再会
「まぁ…あの人、ちょっと有名だったから」
ダークブラウンの髪をかきあげてから、そばかすのある頬をぽりぽりと掻く。
「君も、有名だしね」
彼らを直接知らない第三者からそんな風に言われたことがなかったキラはちょっと驚いた。
「彼が、卒業してからは連絡を取ってないんです」
「そっか」
「これから職員室へ行ってみようと思います」
「んん…僕も一緒に行くよ、と言いたいところだけど…二人で話したいだろうし。監督生として、聞いておかなきゃいけないことだけ後で教えてくれる?」
「はい。お気遣いいただきすみません」
「いいよ。それに…あの人…ちょっと苦手なんだ」
ピースの言葉にキラはくすりと笑った。
あの人が好きな人の方が珍しい。
苦手で当たり前の風貌をしているのだから。
「はい。では、今日はお疲れ様でした」
「お疲れ様。また明日からよろしく」
「はい、よろしくお願いします」
握手をして、ピースと笑いあう。
しばらくは、一年生の行動に目を光らせなくてはならないのだ。
当分は気が休まらないだろうけれど、それが監督生の仕事だった。
ピースと別れ、キラはスリザリンの寮を出て職員室へと向かった。
歩きなれた石畳の回廊。
あの人の後ろを追いかけた日々が蘇る。
カツンカツンと音を連続して立てて、ふと立ち止まる。
(何て言おう?)
一言目は…お久しぶりです、だろうか。
(スラグホーン教授の退職の理由を知ってるのかな。どうして、こんなに突然辞めてしまったんだろう…)
約束が違う、とキラは思った。
それは五年生の終わり頃。
卒業後の進路について寮監であるスラグホーンと面談をしたときのことだった。