第21章 第二部 再会
浴槽があり、体を洗う場所もある。
屋敷しもべ妖精が毎度綺麗に掃除してくれているので、キラはほとんど毎日お風呂に入っていた。
そんな特典を手放すことなどできなくて、キラは夏休みが入る前にスラグホーンの元へ行き、再度任命してくれるようにと頼んだのである。
もちろん、彼女の普段の素行は監督生に相応しいものであったし、連投する者も少なくないためキラは監督生の座を今年も手に入れることができた。
まさかそれが今、こんなにも煩わしく思うとは。
「一年生! スリザリンの寮に案内するから、私についてきて」
逸る心を何とか落ち着かせ、食事が終わった後に一年生達を寮へと先導する。
スリザリンの一年生はやはりスリザリンらしい。
自分達の前を歩くキラが純血かどうかが気になるようだ。
(去年もこんな感じだったなぁ)
一年生の頃はブルーム家の名前を名乗るのが嫌だった――だが、今ではこのようなしがらみからさっさと解放されたくて、家名を使うようになった。
ブルーム家の孫娘、そして監督生。
この二つがあればスリザリン生からのあからさまな卑下の対象からは外れるのだ。
寮の中へ一年生を詰め込んで、キラはもう一人の監督生ピース・マローンと並んで階段上に立った。
一つ年上、現在七年生のピースも昨年からの連投だ。
一年生への説明を終えて、ピースと顔を付き合わせる。
「スラグホーン教授が退職されるなんて…聞いてなかったなぁ」
「私も、全然知りませんでした」
「そうなの?」
「はい」
「君、セブルス・スネイプと…あー、スネイプ教授、と親しかったように思うんだけど」
「……」
ヘーゼル色の瞳のピースは黙り込んだキラを見て決まり悪そうにする。
「あー、ごめん、何かいらないこと言ったかな」
「いえ。親しいといっても、私が二年生までの間だけでしたから。よくご存知ですね?」